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1.はじめに
「退職したいと言い出すのが怖い」
「休職したいけれど、上司に連絡するだけでつらい」
「会社から強く引き留められそうで不安」
「退職届や診断書をどう出せばよいか分からない」
このような悩みを抱えている方は少なくありません。
退職や休職を考える背景には、長時間労働、ハラスメント、職場での人間関係、
心身の不調、会社からの強い引き留め、不当な扱いなど、さまざまな事情があります。
特に、会社とのやり取りそのものが精神的な負担になっている場合、
一人で対応しようとすると、さらに心身の状態が悪化してしまうこともあります。
このコラムでは、
退職・休職をしたいけれど会社とのやり取りが苦痛な方に向けて、
法律相談前に整理しておくとよいポイントをまとめます。
2.退職したいのか、休職したいのかを整理する
まず大切なのは、今の希望が「退職」なのか「休職」なのかを整理することです。
退職とは、会社との雇用関係を終了させることです。
今の会社を辞めたい、もう出勤したくない、
転職や療養に専念したいという場合には、退職が問題になります。
これに対して、休職とは、会社に在籍したまま、一定期間、仕事を休むことです。
心身の不調があり、今すぐ働くことは難しいけれど、
回復後に復職する可能性を残したい場合には、休職が問題になります。
もっとも、実際には、相談時点では
「退職すべきか、休職すべきか分からない」
という方も多くいらっしゃいます。その場合でも、法律相談は可能です。
相談前には、次のような点を簡単にメモしておくとよいでしょう。
・今すぐ会社を辞めたいのか
・一時的に休みたいのか
・復職する可能性を残したいのか
・会社との直接連絡を避けたいのか
・有給休暇を使ってから退職したいのか
・未払残業代、ハラスメント、労災なども問題にしたいのか
完全に整理できていなくてもかまいません。
現時点での気持ちをそのまま伝えていただければ、今後の選択肢を一緒に整理できます。
3.会社とのやり取りが苦痛な場合に無理をしない
退職や休職の場面では、会社から次のような対応を受けることがあります。
「退職は認めない」
「後任が決まるまで辞めさせない」
「直接会社に来て説明しろ」
「電話に出ろ」
「診断書だけでは休職を認めない」
「引継ぎをしないなら損害賠償請求する」
「突然辞めるのは無責任だ」
このような言葉を受けると、強い不安や罪悪感を覚える方もいます。
しかし、会社とのやり取りが精神的に大きな負担になっている場合、
無理に電話や面談で対応し続ける必要があるとは限りません。
連絡方法をメールや書面に限定する、弁護士を通じて連絡する、
医師の診断書を提出したうえで休職を求めるなど、状況に応じた対応方法があります。
特に、上司との直接のやり取りによって体調が悪化する場合には、
そのこと自体も重要な事情になります。
相談時には、「誰とのやり取りがつらいのか」「どのような言葉を言われたのか」
「連絡が来るとどのような症状が出るのか」を整理しておくとよいでしょう。
4.法律相談前に確認しておきたい資料
退職・休職に関する法律相談では、
次のような資料があると、状況を把握しやすくなります。
◆雇用条件に関する資料
雇用契約書、労働条件通知書、就業規則、雇用期間が分かる書類などです。
特に、正社員なのか、契約社員なのか、期間の定めがあるのかないのかによって、
退職の進め方が変わることがあります。
◆勤務状況に関する資料
給与明細、源泉徴収票、シフト表、勤怠記録、
タイムカード、業務日報、残業時間が分かる資料などです。
未払残業代、長時間労働、過重労働、労災などが関係する場合には、勤務時間の資料が重要です。
◆会社とのやり取り
LINE、メール、チャット、SMS、録音、書面など、
会社や上司とのやり取りが分かる資料です。
退職を申し出たのに拒否された、休職の相談をしたのに対応してもらえなかった、
ハラスメント発言を受けた、強い引き留めを受けた、という場合には、
そのやり取りが重要な資料になります。
◆体調に関する資料
診断書、通院記録、処方薬の情報、医師からの指示内容などです。
休職を希望する場合には、医師の診断書が重要になることがあります。
診断書には、病名だけでなく、「就労が困難である」
「一定期間の休養を要する」などの記載があるかどうかが問題になることもあります。
◆有給休暇に関する資料
残っている有給休暇の日数、会社の有給休暇管理表、
給与明細、勤怠システムの画面などです。
退職前に有給休暇を取得したい場合には、
残日数や取得希望日を確認しておくと、相談がスムーズになります。
すべての資料がそろっていなくても相談は可能です。
まずは、手元にあるものだけでもかまいません。
5.相談前にメモしておくとよいこと
資料とあわせて、これまでの経緯を簡単にメモしておくと、相談がしやすくなります。
たとえば、次のような内容です。
・いつから退職や休職を考えるようになったか
・原因となった出来事は何か
・誰から、どのような発言や対応を受けたか
・会社に退職や休職の希望を伝えたか
・伝えた場合、会社はどのように反応したか
・現在、出勤しているのか、欠勤しているのか
・有給休暇は何日残っているか
・診断書はあるか
・会社から貸与品や書類の返却を求められているか
・未払賃金、残業代、退職金などの問題があるか
時系列で簡単に整理しておくと、相談時間を有効に使うことができます。
ただし、長い文章にまとめる必要はありません。箇条書きで十分です。
つらい出来事を思い出すこと自体が負担になる場合には、
無理に詳細を書き出す必要はありません。
6.退職届・休職願を出す前に相談した方がよい場合
退職や休職を希望する場合、すぐに退職届や休職願を出した方がよいケースもあります。
他方で、次のような場合には、出す前に弁護士に相談した方がよいことがあります。
・会社から強い引き留めを受けている
・退職を申し出ても受け取ってもらえない
・損害賠償請求をすると言われている
・退職日や有給休暇の扱いでもめそうである
・未払残業代やハラスメントも問題にしたい
・休職と退職のどちらがよいか迷っている
・診断書の出し方や会社への連絡方法に不安がある
・会社との直接連絡を避けたい
・すでに無断欠勤扱いにされている
・懲戒処分を示唆されている
退職届の文言、退職日の設定、有給休暇の取得、
貸与品の返却、会社への連絡方法などは、
後のトラブルを避けるためにも慎重に検討した方がよい場合があります。
7.会社との直接連絡を避けたい場合
会社との連絡が大きな負担になっている場合には、
弁護士が窓口となって会社と連絡を行うこともあります。
弁護士が窓口になることで、本人が直接上司と電話をしたり、
会社に出向いて退職を伝えたりする必要がなくなる場合があります。
また、退職の意思表示、有給休暇の取得希望、貸与品の返却方法、
私物の受け取り、離職票や源泉徴収票などの書類の交付、未払賃金の確認などについて、
書面で整理して会社に伝えることもできます。
いわゆる退職代行サービスと異なり、
弁護士は、未払賃金、残業代、退職金、ハラスメント、損害賠償請求への対応など、
法的な交渉が必要となる問題にも対応できます。
会社とのやり取りが苦痛である場合には、
無理に一人で抱え込まず、早めに相談することが大切です。
8.休職を希望する場合の注意点
休職を希望する場合には、会社の就業規則や休職制度を確認する必要があります。
休職制度の有無、休職できる期間、必要な手続、診断書の提出先、
休職中の給与や傷病手当金、社会保険料の負担、復職時の手続などは、会社によって異なります。
特に、メンタル不調や体調不良で休職を希望する場合には、医師の診断書が重要です。
診断書を取得する際には、現在の症状、就労の可否、
必要な休養期間などについて、医師に相談しておくとよいでしょう。
また、休職中であっても、会社から一定の連絡が来ることがあります。
もっとも、会社からの連絡頻度や内容が過度であり、療養の妨げになる場合には、
連絡方法や連絡窓口を調整する必要があることもあります。
休職を希望する場合には、退職とは異なる検討が必要になりますので、
早めに相談されることをおすすめします。
9.退職・休職とあわせて確認したい問題
退職や休職の相談では、単に「辞める」「休む」だけでなく、
次のような問題があわせて出てくることがあります。
未払残業代がある場合には、勤務時間や残業時間を確認する必要があります。
ハラスメントがある場合には、発言内容、日時、相手方、
録音やメッセージなどの証拠を整理する必要があります。
長時間労働や精神疾患がある場合には、労災申請を検討すべき場合もあります。
退職金がある場合には、就業規則や退職金規程を確認する必要があります。
会社から損害賠償請求を示唆されている場合には、
本当に法的責任が発生するのかを慎重に検討する必要があります。
このように、退職・休職の相談は、複数の問題が関係することがあります。
相談時には、「退職だけ相談したい」と限定せず、
不安に感じていることを幅広くお話しください。
10.相談内容が整理できていなくても大丈夫です
退職や休職を考えている方の中には、心身ともに疲れ切っており、
状況をうまく説明できないという方もいらっしゃいます。
そのような場合でも、相談は可能です。
「会社に行くのがつらい」
「上司からの連絡を見るだけで苦しい」
「辞めたいけれど、どう伝えればよいか分からない」
「休みたいけれど、会社に何と言えばよいか分からない」
このような状態からでもかまいません。
相談では、現在の状況をお聴きした上で、
退職する場合の進め方、休職する場合の手続、会社との連絡方法、
有給休暇の扱い、未払賃金やハラスメントの有無などを一つずつ整理していきます。
11.退職・休職で会社とのやり取りが苦痛な方はご相談ください
退職したい、休職したいと思っていても、
会社とのやり取りが大きな負担となり、
なかなか一歩を踏み出せない方は少なくありません。
弁護士 堀尾 雅光は、退職時の対応(退職・休職代行)、未払残業代、
ハラスメント、労働問題に関するご相談をお受けしています。
会社に退職を伝えるのが怖い方、
休職の相談をするのがつらい方、
会社からの連絡に対応することが苦痛な方は、
一人で抱え込まず、まずはご相談ください。
現在の状況を丁寧にお聴きし、会社とのやり取りをどのように進めるか、
退職・休職にあたって何を確認すべきか、今後取り得る選択肢を一緒に整理いたします。
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